今週の情熱大陸立川志の輔でした。
師匠の談志のコメントが興味深いものでした。うろ覚えですがだいたい次のようなことを言ってました。
「これは放送されないと思うけど…、『ためしてガッテン』をやってるうちはダメだね。NHKという常識の枠の中にいちゃね。狂気によってそこに居つづけられなくなるとか追い出されるとかでないと、俺の思う落語じゃないね。志の輔はそのことを分かってるよ」
ちょっと違う気はしますが、意味としてはだいたいこんな感じでした。こんなセリフを談志はカッコつけつう気負った口調でまくし立てていました。
芸術家の狂気。談志はそれを言いたかったのでしょう。自分自身は狂気の中にいて、だから落語という芸術を作り続けていけるんだという自負があるのでしょう。それは、ある意味真理だと思います。常識に縛られたり、周りとうまくやっていこうとしたり、そういうものは芸術とは両立しない気がします。
でも、志の輔は師匠の考え方を認めつつも、師匠が意図的に狂気に入り込んだり、あるいは狂気を装っていることも見破っていると思います。意図的であることや装うことがウソの狂気だと非難するのではありません。そういうものも狂気の一種であると認めましょう。ただ、志の輔は自分は狂っていないと自覚し、意識的に狂ったりせず、常識の枠の中で仕事をすることと並行して、狂気を必要としない方法で自分の芸を磨きたいと思っているのではないかと思います。