松本圭二

朝日新聞松本圭二という詩人が映画評論を書いている。この人の評論は詩人のくせにいつも理論的な印象がある。短い文章の中に鋭い視点が的確に表現されており、映画そのものへの興味を脇において彼の文章から受ける痛快感を楽しんでいる。なので、まな板に載せられた映画を観たいと思うかどうかは別問題となる。
朝日では別に、沢木耕太郎の「銀の街から」という映画評論もある。こちらは松本とは逆に、ノンフィクション作家のくせに詩的な文章を載せている。文章の体裁が詩っぽいのでないが、脳みそより心に働きかける文章なのである。そして、論じられている映画を観たい気分にさせられる。
詩人の文章が理屈っぽく、ノンフィクション作家の文章は詩的、というのがなんとなく面白い。