タクシー

夜の12時を過ぎて、繁華街に近い国道を、残業帰りの僕の車が走る。
路肩に沿ってタクシーが何台も何台も停まっている。
どれだけ待ってどれだけの料金を走るのか。
僕の給料はきっと、彼らの給料の倍以上ある。
だけど、どちらが幸せかと問いかける気にはなれない。
どちらがまだしも不幸から遠いかという問を自分に投げる。
たぶん僕の方が遠い。
そう思えたとしても喜びはない。
幸福から遠いという意味ではどちらも同じ。