『気狂いピエロ』

気狂いピエロ [DVD]

気狂いピエロ [DVD]

20年前観た(たぶん映画館じゃなく、VHSで観たのだろう)ときは、よく分からない映画だと思った(僕は観た映画のストーリーは全部忘れてしまうけれど、観たときの印象はわりとよく覚えている)。正確にいうと、「分からない」より「分かり難い」に近いかもしれない。つまり、この映画には何か(そしておそらく重要な)意味があると、そのときは思った。でも、いまは、この映画に「意味がある」のではなく、この映画から「意味を引き出す」ことが、この映画の生かし方なのかもしれないと思っている(あるいは、この映画から引き出し得る「意味」など何もないかもしれないけれど)。
たとえば、フェルナンデス(だったっけか、ベルモンドの役は)が自分の顔を青く塗ったのは、ダイナマイトが赤と黄色だったからである。という風に「意味」を見つける、というか、「意味」を貼り付けてその「意味」が正しいのだと言い切るのが、この映画の使い方である(例としては低レベルだけど)。
それにしても、いつの間に邦題が「気違いピエロ」から「気狂いピエロ」に変わったのだろう。「きちがい」で変換しても「基地外」としか出てこないくらいに「気違い」という単語が禁句なのはわかるけど…。