風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)

タイトルがダメ。よくこんなしょうもないタイトルにしたなと思う。おそらく、自分で考えたんじゃなくて、取材している中で現場の人間から聞いた言葉を使ったんじゃないかと思う。その言葉に文学的趣向はなくても、危険な地域で活動してきた人間の発する重みがあって、それに引きずられたんじゃないかな。じゃないとしたら、言葉に対するセンスを疑ってしまう。
6つの短編からなっているけど、一番おもしろかったのは『ジェネレーションX』。といっても、たとえばこの作品をたまたま飛行機の中の機内誌で読んだとしたらすごく得をした気になる、といった類の面白さである。